いまさら翼と言われても*米澤穂信

再読。図書館で借り直し。(←米澤様ごめん…文庫で揃えてるもんで>_<)

というかなぜ初回感想書いてないのか…???書いたと思ったんだけど。

箱の中の欠落
里志と夜の散歩。
生徒会会長選出選挙にて、投票数が生徒数を上回る。ハウダニット物。


まぁ…よく食べますね。笑

個人的にこういう付かず離れずな友情は好き。
建前の応酬に笑えた。

「福部里志の相談なら夜の散歩ぐらい付き合うのも面白いが、副委員長の相談だったら委員会に持ち帰ってくれ」


鏡には映らない
摩耶花視点。
中学校の卒業制作、折木はなぜ手を抜いたのか?


摩耶花らしいエピソード。
この真っ直ぐさとか正義感の強さは里志と似た者同士なんだろうと思った。

あと、あの気持ち良い説教(笑)
好きだから叱るのもすごい。やっぱり里志には摩耶花がいいよ。

アサミ次第。は、どういう意味だろう?
夜の散歩初回をこの事件時と仮定したら、話を持ってきたのは里志になる。
とすると、奉太郎は「ASAMI.T」の名前しか知らなかったのか。
鳥羽麻美?と聞かれて驚いたのは、思いがけず実在人物と繋がってびっくりしたとか?

とりあえずラストが可愛すぎる。
「わかったから写真を片付けてくれ。…ちょうどいま、いいところだったんだよ」


連峰は晴れているか
中学校時代の教師の思い出話から。
彼は本当にヘリ好きだったのか?


これだけストーリーが気になりすぎて、アニメで先に見てしまった…。失敗。
どうしてもアニメの印象がつきまとう。
(そもそも「おれき」「ちたんだ」のアクセントからイメージが違った…。自分が訛ってるのか?笑)

「わらっていたとおもう」
アニメだと音声で聞くから判断に迷う。
笑っていた?嗤っていた?
こういう方向に行く事自体心が汚れているのか。
いや、でも米澤さんなら有り得る展開だよ。

2度と会わない相手への非礼を考える奉太郎の感性は好き。
ただそこまで敏感なセンサーを持っているが為に、後述《長い休日》的な悲哀を抱えるんだろうなぁと。
生きづらい世の中だ。

『うまく言えない事なら、うまく聞く事も出来ないだろう。』


わたしたちの伝説の一冊
摩耶花視点2。
漫研の対立と創作にかける情熱


走れメロス。奉太郎はブレないな。
本来なら走る必要なかったよね?と、弟子余計な事言ってない?は私も思ったけど。
あんな解釈があったとは。

概算でさらっと語られた漫研退部の話。
こういう裏エピがあったのか…

本気でプロになりたければ馴れ合いにはどこかで終止符を打つべき。

いろんな事に応用できる考え方だと思う。
深かった。

「あたしには才能がある、ちっぽけでゴミみたいな才能だけど、でも、あたしはそれに仕えなきゃいけなかったんだ」

長い休日
"不調"な奉太郎はえると掃除をしながら思い出話を始める。
省エネ主義標榜のきっかけ


悪夢の一枚www
写真で盛り上がるえるとかほさんの女子的雰囲気が新鮮。

いるよね、便利に使われる子供。
教師が承知の上っていうのがまた忌々しい。

と、奉太郎よりで書いてみたけど。
自分を振り返ってみると、便利に使う方の側だったと思う。
というか、使われてる子はそれが好きなのかと思ってた。
自分は勉強とか読書とか、当時の友達が嫌だって言う事が好きだったし、だったら自分が嫌な掃除や雑用が好きな人が居ても不思議じゃないなと。
大人はともかく、友達には嫌な事嫌だって言わないと伝わらないよ。

奉太郎のこういう優しい弱さは関谷純に通じるものがあり、えるが惹かれる部分なのかもしれない。

「あんたはこれから、長い休日に入るのね」


いまさら翼と言われても
えるが合唱祭当日姿を消した…どこに、そしてなぜ?
タイムリミットが迫る中、奉太郎はえるを探しに向かう


タイトルで盛大なネタばらし。
これはこれでいいのか。

お父さん…
なぜそのタイミングでそゆこと言う?
間違ってないけどさ。
跡取りとしての自覚がえるの決定すべてに影響してて、高校選択、文理選択、生徒会長…ほとんどの分岐点が終わってるというのに。
ほんとに「いまさら」過ぎる。
親の心子知らず、子の心親知らず。

えるは蔵を出られたんだろうか。
奉太郎も摩耶花も里志も彼女を責めない。
それでも事情を知らない大人は彼女を責めるだろうし、そうなればえるは謝罪せざるを得ないだろう。
奉太郎辺りなら「言いたい奴には言わせておけ」って言うだろうけど、でもそれはすごく苦しいし口惜しい。

後日談が非常に気になる話でした。

『千反田がこれまで背負ってきたもの、いま背負わなくてもいいと言われたもののことを思うと、俺はふと、何かを力いっぱい殴りつけたい気分にかられた』


初読2016.12
再読2017.4